第30回放送 平成28年9月22日(木)
病気を持たれている患者さんに
~歯科治療を受ける際のお願い~
「痛い!」「腫れている!」「噛めない!」…急性の炎症で、歯医者に飛び込んで来られる患者さん。
「何か御病気はお持ちですか?」 この言葉から治療は始まります。
通常の治療に入れるのか、それとも応急処置をしておいて主治医の先生にお伺いを立てるのか…問診をしながら、いつもその選択を迫られます。
よりスムースに診療に入るため、今回は、病気を持っておられる方が歯科治療を受ける際に留意しておいて頂く点を少しお話したいと思います。
①高血圧
★診療前に、血圧測定をして下さい。
★投薬治療を受けている方は、血圧が安定しているかどうか教えて下さい。また、決められたお薬は必ず服用してから来院して下さい。
(血圧の数値によっては、通常の歯科治療ができないこともあります)
⇒収縮期血圧が、180mmHg以上の場合、局所麻酔を見送る場合があります。
②狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞などの脳血管障害
★病名と発症時期、服用しているお薬の種類を教えて下さい。
(病状や、ワ-ファリンなどの抗血液凝固剤の服用状況によっては、 主治医の先生に、治療に関する情報を照会する場合があります)
⇒外科的な治療に際し、数日前から抗血液凝固剤の服用を中止することがあります。
③糖尿病
★糖尿病の状態、治療内容など教えて下さい。
⇒血糖値・HgA1c値など (300mg/dl・8.0%以上は・観血的処置は行わないほうが無難です)
★治療前には、決められた服薬やインシュリン注射など行って下さい。
⇒低血糖状態では意識障害を起こすことがありますので、午前中の早い時間か食後の歯科治療が望ましいです。また、観血処置(抜歯などの外科的治療)を行った場合、感染を起こしやすいので、抗生剤を確実に服用して下さい。
④気管支喘息
★喘息発作の状況、発症する原因が解れば教えて下さい。
★気管支拡張薬を持っている場合は、持参しておいて下さい。
★アスピリン喘息の方は、必ずお知らせ下さい。
⇒歯科でよく使う鎮痛剤で発作を起こすことがあります。
⑤アレルギー
★アレルギーが、お薬によるものか、歯科材料(特に金属)によるものか
を教えて下さい。
★金属によるものであれば、皮膚科でアレルギーを起こす金属の特定をお願いします。(パッチテスト)
⇒今までは、大臼歯には金属冠しか保険適用されていませんでしたが、金属アレルギーと分かれば、非金属のかぶせも保険適用されます。
⑥骨粗鬆症
★治療の期間、ビスフォスフォネート剤(経口・注射)の使用状況を教えて下さい。
⇒治療開始3年がひとつの目安となります。
★抜歯などの外科的な治療に対しては、主治医の先生と連携する必要があります。
⇒状況によっては、お薬をやめる「休薬」を数カ月してから、処置をすることになります。これは、骨吸収抑制剤関連顎骨壊死(ARONJ)の危険性があるからです。
⇒ビスフォスフォネート剤(BP剤)は、膠原病やがんの治療にも使われることがあります。
その他、色々病気がありますので、詳しい事は、かかりつけの歯科医にお
尋ね下さい。
もし事前に主治医の先生にお話しできる環境であれば、次の3点を聞いて
おいて頂けると助かります。
1.歯科で麻酔(局所麻酔)を行ってもよいかどうか
2.外科的な治療(抜歯など)を行ってもよいかどうか
3.飲み薬で、抗生物質や鎮痛剤を処方されてもよいかどうか
おだいじに
次回も乞うご期待!
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